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いつか降る雪
作品情報
人里離れた山間にそれは今もある……。「白亜館」……戦前に建てられた建造物としては、豪華すぎる白亜の大理石がふんだんに使われたサナトリウムで物語は始まる。白と黒の市松模様の大理石を今日も怪老は音をたて、一歩一歩歩む。彼は狂った半生をたったひとつの為に捧げてきた。しかし、それもまもなく終焉を迎える。(そう、まもなく愛しき人に出逢える……)彼は足を止めると、ひとり薄暗く湿った地下室で笑った……。男は乗客のいない車内で命溢れる山の緑を眺めていた。最初、若々しい新緑に感嘆を漏らしたが、いい加減飽きてきたところだった。(今日から勤めるサナトリウムはどんなところだろう…どんな患者がいるのか…?)そんな思いを乗せ、一両編成の電車は古びた無人駅に辿り着こうとしていた……。
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