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霞外籠逗留記
作品情報
延々と連なる廊下と階段とそして水路、古紙の匂いに満ちた図書室、南国の花の香にむせ返るような温室、歳月を経て手ずれの艶を帯びた奥座敷。そんな諸々を懐に抱いた、奇妙で巨大な旅籠。年の頃は、年増の、花の盛りの、あるいはいまだ蕾の、たたずまいなら、儚げな、妖艶な、凛然とした、女たちが幻灯のように入れ替わり立ち替わり現れて。そんな女たちが住まいする、時に忘れさられたような、いずことも知れぬ、旅籠。迷いこんだ青年は、そんな舞台でそんな女性達と、縺れ合い、睦み合い、貪り合い、絡まり合う―――これは、迷いこんだ青年と、旅籠の女たちとの、愛憎と幻妖の物語。
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