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はるかぜどりに、とまりぎを。2nd Story〜月の扉と海の欠片〜
作品情報
“今” よりも青く美しい地球。人々の築き上げてきた街や文明は、その半分まで青い海の下へと消えていった。温暖化の影響による海面上昇。それは、予測されていた以上の加速で、大地をのみ込み街は海へと沈んでいった。そして、サトリ病……二十世紀の終わりごろに、原因不明の病が流行し、人類はその数を半分にまで減らしてしまった。流行直後は、あまりにも多くの人間が発病し、伝染病と噂されていたが、その後の研究で人類のもともと保持していた遺伝子の変節が原因であると言われるようになった死病。もともと全人類がこの病気に感染しており、生き延びた人間は単に発病していないだけなのだ。人は減り、住む場所もそれほど必要はなくなってしまったから、どの国でも本当に必要な区域以外は海に呑まれるままにしていたのだという。そして、それから数年……人類の半数近くを殺した病、サトリ病の流行は収束へと向かっていた。そして、大地の多くを海に戻したことであと十数年もすれば温暖化も止まるのだという。しかし、それはもう少し先のこと。これはまだ、人の数を半分にまで減らす恐ろしい病と、想い出を刻んだいくつもの街が、青い海に呑まれていく……大切な多くのものを失っていく時代。これは、そんな時代の物語。
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